勝手に「無洗米ってまずい」という印象があったけど、普通に美味しかった

朝ご飯のイラスト

最近まで、なんとなく無洗米は美味しくないと言うイメージがあったので買っていませんでしたが、あるきっかけで購入したところ意外とおいしいことに驚き!しかもお米をとぐ手間いらず。さらに調べてみると、様々な面で良いことがありました。

目次

なんとなく無洗米ってまずいという印象があった

考えている主婦のイラスト

無洗米のイメージ

無洗米って、

・普通の精白米より高い
・普通の精白米より美味しくない
・お米をとがないで炊くのが何だか気持ち悪い
・炊くときに水加減を気にしなきゃいけない

上記のような勝手なイメージで、今までずっとお米を購入する時に選択肢にありませんでした。

ところが少し前から、別の場所に住んでいる高齢の親が病気であり、

お米をとぐのがしんどくなってきたから

と言うので私が無洗米を買って持って行ってました。

無洗米に目を向けるようになっていたところ、ドラッグストアの特売で精白米より安い無洗米を見つけ、自宅用に試しに購入したことがきっかけです。

精白米と同じように炊いても美味しかった

食べてみるといつもの白米より甘く感じました!

同じカップでお米を測ると普通の精米より無洗米は量が多いので水分は少し多めにするのですが、ずぼらな私は水分量などちゃんと確認せずお米をたいたので少し固めではありました。

無洗米の方が量が多くなる理由は、
普通の精米機では「ぬか」(以下肌ぬかという)が残った状態で、とぐことによって肌ぬかが落ちるため。無洗米にはカップで計量する時にすでに、肌ぬかが無いのでその分量が多くなります。

量が多くなる分、水分を多くしないとお米が固めになってしまうんですが、そもそも固めのご飯が好きだった私は余計に美味しく感じたのかも知れません。

無洗米が美味しかったのは、わたしの米とぎが下手だったから?

無洗米でも品質は色々あるようで、最安値の無洗米でも美味しく感じた理由は、普段のわたしのお米のとぎ方がなってなかったからじゃないかと気づきました。

調べてみたところ、お米とぎが必要なのは「肌ぬか」や「ごみ」を落とすためなんですね。今の時代の発達した精米機だと、肌ぬかはだいぶ取れているようです。

肌ぬかをなぜ取り除くかというと、

・ぬか臭さが残り時間が経つと嫌な臭いがしてくる。
・気温によっては腐敗速度が速くなる。

ただ「肌ぬか部分」と「旨味のデンプン部分」は混じり合っている箇所もあるという事で、とぎすぎると旨味まで流れてしまう。それに力を入れてとぐと、お米が割れて炊いた時に食感がべちゃっとしてしまうこともあります。

お米をとぐ方法を改めておさらいすると、

最初の水はすぐ捨てる。乾燥している米が水を吸いやすく、ぬか臭さまで吸ってしまう。
指でさっと洗う。力を入れない。
お米をとぐ水が透明になるまでは洗わない。ほんの少し濁っているくらいだとちょうど良い。(ぬかによる濁りではなく、デンプンが溶け出している状態で、そのまま炊くと美味しくなるらしい。)
お湯を使ってはダメ。おいしいデンプンが流れ落ちてしまう。

無洗米というのは上記の「米とぎ」がすでに終わっている状態のお米。

「とぐ」ことを理解していなかった私。

普通の精米だとお米をとがなきゃいけないのですが、「とぐ」という行為をちゃんと理解していなかったんだと、無洗米を食べ、味の違いで気付きました。「とぐ」よりゴミなどを取り除く「洗う」イメージの方が強かったんです。

テキトーに手でかき混ぜて水で流せばいいじゃないか。水が冷たかったらお湯を使えばいいじゃない?

お米をちゃんととげるかどうかは、炊事の基本中の基本らしいですが、分かっていませんでしたね。むしろなんで「お米をとぐ」という事を重要視するのか謎なくらいでした。

テレビやレシピ本などで「お米のとぎ方」を見たことは何回もあります。しかし教える人によってとぎ方が違いますよね?そこは自分で考えて試行錯誤すればいいのですが面倒なのでしませんでした。とぎ方下手でもよく噛んで食べればまあまあ美味しい(笑)。

というわけで、

・お米とぎが下手
・固めのお米が好き

の、ズボラな私だから美味しく感じた部分が大きいとも言えます。

私のように「お米のとぎ方や炊き上がりがイマイチ」と思っている人にも、無洗米は美味しく感じるのではないかと!

実際おいしいの?おいしくないの?

実際、無洗米の種類で美味しさには差があるようです。加工の方法やお米によっては普通の精米より美味しくない場合も。詳しくは後述します。

精白米から無洗米に変えた我が家

お米の美味しさに加え、お米とぎがいらないのでとっても手軽!無洗米に変えない手は無い、と思いましたが気になるのは価格。

普通の精米のグラム数は米とぎでぬかを落とした時に減ります。同じ5kgのお米を買っても、無洗米は5kg分を食べられますが、普通の精米はぬかの分として、5kgあたり0.15kg分食べられる量が少なくなります。

近所のスーパーで普通の精米と無洗米の価格を比較してみると、

・コシヒカリ5kg 400円以上
・あきたこまち5kg 200円以上

無洗米の方が高くなっていました。なお、同じ銘柄の一番安い商品で比べています。物価高になっている昨今、正味量に違いがあると言えこの差額は確かに気になる…。

売り場をみると、目立つところには普通の精白米ばかりで無洗米は端の方にある事が多かったです。各銘柄のラインナップも精白米の方が多い。無洗米は便利で美味しいけれど、値段が高めというのはやはりネックでもあります。

とはいえ、お米市場における無洗米のシェアは年々拡大しているようす↓

認定無洗米生産量とコメ需要量の推移
出典:「認定無洗米生産量とコメ需要量の推移」2018年(全国無洗米協会

認定無洗米
現在、国による基準はなく、「全国無洗米協会」が安全基準を設けて検査しています。合格したものは認証マークが付いています。

認定無洗米の生産量は近年横ばいですが、対してコメ需要量が減っているので割合としては増えています。認定無洗米以外の無洗米というのもあるので、それらを含めるともっと利用されていると思われます。

私としては、美味しさやお米をとぐ手間、水道代、環境問題など含めて考慮すると、割高分のリターンは十分ある!と感じています。特に「とぐ」手間が減るのがポイント高いです。冬場だとお米とぎは地味につらい。

ただ、ひと口に無洗米と言っても製法が様々です。ぬかの取れ具合も違っているようです。

無洗米の製法をいくつかご紹介します↓

・BG精米方法
肌ぬかを肌ぬかにくっつけて取る方法。「Bran(ぬか)」と「Grind(けずる)」からBG精米製法という。
・NTWP加工法
タピオカのモチモチとした粘っこい性質で肌ぬかをくっつけて取る方法。
・水洗い乾燥法
肌ぬかを水で洗い乾燥させる方法。

それぞれの製法によって品質に差があり、肌ぬかが残っている場合やお米自体の品質にも差があります。そのため、無洗米によっても味は変わってきます。

BG無洗米はとくに美味しかった!

米とぎ下手な私だと、どの無洗米もおいしく感じたのですが、一番美味しかったのはBG精米方法で作られている「BG無洗米」でした。

無洗米の精米方法まで気にしてはいなかったのですが、『無洗米の衝撃 コメが風土を変える』(著者相子清造さん)という本を読んでBG無洗米が良いという話に感化されて、さらに美味しさや栄養の面でも「金芽米」が良いということで購入しました。

食べた感想としては、やはり甘く感じました。私は血糖値の急激な上昇を抑えたいため、冷めたご飯を食べることが多いのですが、時間が経っても嫌なにおいがせず、甘くて美味しかった!

肌ぬかと一緒に流れてしまうことが多い旨味部分の「亜糊粉層」。金芽米はこの層が残っていて美味しいお米になっているんだそうです。

無洗米の炊き方

ご飯を炊いているところ

無洗米の洗い方

上述したとおり、無洗米はとがなくて良いので、そのまま水に浸して炊くことができます。

無洗米をといでしまうと、肌ぬかではなく旨味成分が流れてしまうので、そのまま炊いた方が美味しいとのこと。気になる人は1回だけ水でさっと流すといいと思います。

無洗米の水の量

無洗米は普通の精白米と同じ計量カップで計った場合、水の量を少し多めにします。理由は肌ぬか分がなく正味量が多くなっているため。

計量カップ1合につき、大さじ1〜2増やす

無洗米用の計量カップがあれば、炊飯器の目盛りのままに水を加えて大丈夫です。

無洗米の吸水時間

精白米と同じく30分〜1時間くらい水に浸してから炊くと、よりお米が美味しくなります。

米のとぎ汁が水質汚染で問題視される理由

汚染が進んでいる川のイラスト

昔から言われている米のとぎ汁問題

昔から米のとぎ汁が水質悪化の要因になると言われていましたが、腑に落ちなかった私。

洗剤とか食品の油の方が汚染するんじゃないの?

と思っていました。

調べてみると、食品で汚れた排水をきれいにするには、大量の水とエネルギーが必要。もちろん洗剤なども水質を悪化させます。

とぎ汁で水質が悪くなる理由

米をといで流れ出る「ぬか」にわずかに含まれている窒素とリンが水質に悪影響を及ぼします。窒素とリンは分解しにくく、下水処理場で高度処理を施さないとそのまま河川などに流れてしまいます。

窒素とリンは植物プランクトン(アオコなど)のエサとなり、増えすぎた植物プランクトンの死骸がヘドロとなり悪臭を放ったり、魚のエラに詰まったり。

また、川や海に流された窒素やリンが水中で微生物により分解される際には酸素が必要となり、他の必要とする生物に酸素が行き届かなくなることもあります。

水中で酸素がどのくらい使われるかによって水の汚れを測る「BOD」という指標があります。環境省の「水環境総合情報サイト」の「公共用水域水質測定データで川や沿岸のBODを調べることができます。

とぎ汁だけではなく、スープや牛乳、ソース、油、など食品の汚れを魚が住めるくらいきれいに処理するには大量の水とエネルギーが必要になります。

米のとぎ汁を始め、汚れた水の排水を少なくすることが環境への負荷を減らすことにつながります。

肌ぬかは再利用される

ところで無洗米にする過程で出る「肌ぬか」ですが、BG精米製法のぬかでぬかを取る方法だと、再利用が可能なんだそう。川や海に流すと水質悪化の要因になる「ぬか」。土壌に帰すと有機肥料になり、家畜に与える飼料にもなります。

まとめ

手間がかからず美味しく食べられる無洗米。価格は通常のお米より多少上がりますが、ご紹介した様々な点でメリットが多い製品だと感じます。普段のお米の味がいまいちだと感じているなら、一度試してみてはいかがでしょうか。

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参考
全国無洗米協会(最終閲覧2023年11月30日)
環境省HP「生活排水読本」(最終閲覧2023年11月30日)
相子清造(著)『無洗米の衝撃 コメが風土を変える』旭屋出版2005年12月2日発行
石谷孝佑(監)『ポプラディア情報館 米』株式会社ポプラ社2006年3月発行

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